株で負け続けていた頃のトレードの変化を第4段階(「インターネットの掲示板で騒がれていた個人投資家に人気の株を衝動的に買う」→「有名な会社で、なんとなく株価が上がりそうな気がするものをテキトーに買う」→「グロース投資・バリュー投資」→「株価が大きく下がって割安になった株を買う」)まで書きました。
これまでのトレードを振り返ると、いつ買って、いつ売るかといったトレードのルールがなく、欲望、期待、熱狂、怒り、絶望、あきらめ、恐怖など「人間の本能」に従っただけのトレードでした。
ここからは、第1段階から第4段階までの間に共通してやらかしていた「負けるためのトレード手法」(笑)をひとつひとつ書いていこうと思います。
負けるためのトレード手法「その1」は、ロスカットができなかったこと、ロスカットするのが遅かったことです。
もちろん、株を買う前に、売るタイミング、つまり、利益確定やロスカットする価格を決めることはありませんでした。
買った後の株価の推移を見ながら、満足できる利益が出たり、我慢できないぐらい損が大きくなってきたら売るような感じでした。
そのうち、ロスカットせずに放置していれば買値まで戻ってくるものがあったりして、さらに大きな含み損に耐えるようになりました。
この頃の心理は、「損を出すのが苦痛で受け入れられない」「含み損は我慢できても、損を確定させて資金が現実に減ることは認められない」というものでした。
また、買った株が下がると、「他にも買おうと迷った株かあったのに、なぜこの株を選んでしまったのか」「もっと早く買っておけばよかった」「もう少し待ってから買うべきだった」など、自分が間違えたことが許せず、落胆や後悔、怒りの感情が爆発していました。
イスを蹴り飛ばしたり、マウスを壁に投げつけて壊したこともありました。

何よりも、ロスカットせずにかなりの含み損になっていたものがトントンまで戻ったり、プラスになったりするのを経験したことが一番の問題でした。
このせいで、「どうせ待っていれば買値まで戻るから、ロスカットしなくて大丈夫」「ロスカットした後、買値に戻したら悔しいから、ロスカットしない」という考えになっていきました。
しかし、ついに、いつまでたっても買値に戻らずに下げ続けて大きな含み損を抱えるものが出てきました。
大きな含み損を抱えた状態は精神的に苦しく、「もう売って楽になりたい」という気持ちが大きくなってきました。
一方で、「損が大きすぎて、今更、売れない」「ここまで大損したら、このまま下げ続けて損が増えても、大して変わらない」「ここまで下げたのだから、そろそろ大きく反発するかもしれないし、売ったら、そのときに後悔しそう」「確定させるまでは本当の損ではない」という気持ちが交錯します。
いつまでも決断できないまま、時が過ぎていきました。

結局、40万円で買った株は、半年以上下げ続けた後、上場廃止することになり、3万円で売りました。
150万円で買った株は、40万円まで下げたところでようやく売りました。精神的に耐えられなくなったからです。
損を確定させた後は、大きなダメージを受けましが、もう含み損を見なくて済むと思うと、逆にすがすがしい気持ちにもなりました。
皆さんも大損して塩漬けしている株があれば、一度売ってみてはどうでしょうか。
そして冷静に、「この株は、もう一度買い戻したくなるような魅力があるものなのか」「他にもっと買いたいと思える株があるのではないか」を考えてみてください。
それでも魅力があると思うのであれば、もう一度買い戻せばいいのです。
私の場合、売った後、「他に上がり続けている株はいくらでもあったのに、なんでこんな下げ続ける株にこだわり続けていたのか」と、長期間にわたり、資金と時間を拘束されていたことを大いに悔やみました。
二度と買い戻そうとは思えませんでした。とっとと、もっと良さそうな株を見つけて買いました。
これらの大損を経験したことで、少ない損のうちに早めにロスカットしなければとんでもないことになると痛感しました。
すべてのトレードがうまくいくはずがありません。
グロース投資やバリュー投資などの長期投資であったり、株価が上がると絶対の自信を持っていた株であったとしても、下がり続けるのであれば、ロスカットせずに含み損に耐えることは大きなリスクになります。
いつか必ず致命的な損が発生します。