私が負け続けていた頃のトレードを踏まえた、負けるためのトレード手法「その3」は、常に、証券口座にある資金の全額を使ってトレードしていたことです。
当時、口座にある資金は、数百万円程度でしたが、「キャッシュポジションがゼロのいつもパンパンのフルポジ」というやつでした。
その心理は、「少しでもたくさん儲けるためには、目いっぱい株を買わないと」「せっかく口座に資金があるのに、遊ばしておくのは、もったいない」というものでした。
とにかく儲けること、儲かることしか考えていませんでした。
まあ、普通そうですよね。上がると思っている株があるのであれば、とりあえず口座にある資金で買えるだけ買おうと思いますよね。
今でも、この誘惑にかられ、つい、予定よりも大きなポジションを持ってしまうことがあります。
特に、相場全体が上げ基調で買いたい銘柄がたくさんあるときですね。
人間は、やっぱり欲深い生き物ですから。
フルホジの時にどんどん利益が積みあがっていく快感はたまりません。
私程度の資金規模で1日に5万円も10万円も利益が出続けることを想像してもらえばとわかると思います。

その一方で、フルホジの時に何度か暴落を経験しました。
早めのロスカットができない私は、その都度痛い目にあいました。
株価は上げるときはゆっくりですが、下げるときは一瞬で大きく下げます。
いつものことですが、暴落があると、まず、お金を失う恐怖と落胆を感じます。
次に売ってしまうかどうかを考えます。
「この株はまだ利益が出ているから、しばらく様子を見るか。いやいや利益の残っているうちに売ってしまおう」「この株は、既に含み損になっているので、売ってしまおうか。いやいやこれだけ一気に下げたのだから明日以降反発する可能性があるので、売らずに残しておこうか」と迷います。
こうして迷っている間に、大抵はさらに大きく株価が下げていきました。
結局、あっという間に今までの儲けが帳消しになって、大きな損失を被っています。
今まで儲けていた分は一体どこに行ってしまったのでしょう。
で、我慢できずにロスカットしたところで、お決まりのリバウンドが始まります。
暴落で資金の10%、ひどいときには20%近く失うこともありました。
これだけの損を取り戻すのは、容易ではありませんでした。

こうならないためにも、常に資金の全額を使ってトレードすることは避けなければならないと感じるようになりました。
何度か暴落を経験してからでないと、こう思えないところが情けないですが、暴落前の株価が堅調な時期に調子に乗って、暴落した時のことを忘れてしまうのがいけないのでした。
それと、暴落時に大損すると、暴落後に株価がリバウンドを始めたときに買う勇気が持てませんでした。
精神的なダメージが大きく冷静に考えられないため、どうしても、「ここで買っても、また株価が下がって損が増えるだけになるのではないか。これ以上の損には耐えられない」「しばらく株は見たくもない。損したことも忘れたい」と考えてしまっていました。
個人投資家がこう考える時が「株の買い時」であり、チャンスなのですが…
フルポジのときに暴落を避けることができれば、もっと早く勝てるようになったかもしれませんが、簡単ではありません。
改めて書きますが、暴落の危険をある程度予想できないことはないです。
ただ、はっきり分からない以上、暴落を完璧に避けることはできず、それなりの被害を受けると考えておかなければなりません。