株は信用取引を利用すれば、口座にある資金の3倍の金額までのトレードが可能です。
そうです、レバレッジをかけることにより、一気に大きく儲けられる可能性があります。
例えば、口座資金300万円を元手に900万円分を信用買いします。
株価が10%上がれば90万円の儲けで、元手からみると30%もの儲けとなります。ウハウハです。
特に、資金が少ないうちは、大きな魅力を感じると思います。
その反面、信用取引は、簡単に大きな損が出る可能性があり、最悪の場合、口座資金を超える損が出ることにもなりかねません。
先程のケースで株価が30%下がれば270万円の損で、元手はわずか30万円になってしまいます(30%下がる前に口座に追加の資金の入金(追証)を求められますが…)。
最も怖いのは、連続ストップ安などで売りたい価格で売れないケースです。
仮に株が売れた時点で株価が50%下がっていた場合、元手を超える450万円もの損(150万円の赤字)になってしまいます。
このように、レバレッジをかけたトレードは、リスクが高いので十分な注意が必要です。
個人投資家が大損したり、相場から退場するケースは、このレバレッジが絡んでいるケースが多いと思います。

私は、株で信用買いはしないのですが、FXではレバレッジをかけたトレードをしているので、FXでの忘れられない恐ろしい体験を書きます。
約5年前のことですが、私は、めったにトレードしない「ユーロ・スイスフラン」をなぜか買っていました。
当時、スイス中央銀行は、数年間に渡り、1ユーロ=1.20フランを下回らない(1.19フランなど更なるフラン高にならない)よう為替介入による防衛を続けていました。
この防衛策を利用して、1.20付近でユーロを買っておけば、大きく下がる心配はない安全確実なトレードでした。
しかしです。突如、防衛策の撤廃が発表されると、途端に1.20を割り、あっという間に、なんと0.85まで約30%も一気に急落していきました(興味があれば「スイスフランショック」で検索してください)。

わかりにくいでしょうからドル・円に例えると、1ドル100円が一瞬のうちに70円になったと思ってください。ありえないですよね。
私は、仕事帰りのバスの中、スマホでニュースを見て知ったのですが、急いで5分足のチャートを見て「やばい。」と直感しました。
もちろん1.20割れで損切(ストップロス)を設定していました。
ですが、株では、この手の下げでは損切ポイントから大きく滑って、かなり低い額で約定していることが多かったからです。
ツイッターでも、「損切の約定が信じられないぐらい滑って、口座が数百万円、数千万円のマイナス(借金)になった。」というコメントが目立ちました。
心臓をバクバクさせながら、急いで頭の中で計算します。
口座には50万円。
レバレッジ20倍の1,000万円のポジションがあるから、1.08(損切レートの10%下)で約定していたら、口座はマイナスに突入して50万円の赤字か。
いやいや、もしも1.0を割っていたら100万以上の赤字になってるよ。これは悲惨(涙)」と恐怖がわいてきます。
指が震えてパスワードを正しく入力できず、なかなかログインできません。
何度か失敗した後、ようやくログインでき、口座の残額を確認します。

見たいけど、見たくない…。怖い…
40万以上残っていました!
「助かったー」と思わずバスの中で叫びそうになりました。
結構損したのに、まるで勝ったような気分でした。
もっと低いレートで約定しているFX業者もあったようで、私はラッキーでした。
後で聞いたところによると、1.20を割れてすぐの損切は値がついたようです。
しかし、その後は、損切の売りが多すぎて、しばらく値が付かず、次に値が付いた時には、窓を開けて大きく下に飛んで始まったようです。
これでは、あらかじめ逆指値で損切注文していても、そのレートで約定されないですよね。
このとき、大きなレバレッジをかけたトレードの底知れぬ怖さを初めて知りました。
たとえ、きちんと損切を設定していても、相場では、想定外のことが起きるのです。