10年間負け続けたトレードの第3段階です。
株を始めて何か月たっても全然勝てず、累積した損も大きくなってきたので、少し危機感が出てきました。
「株は、テキトーにトレードしているだけでは勝てない。勉強しないと、ずっと負け続けてしまう」と思い始めた頃です。
株について勉強することで、欲望と期待、感情だけのトレードに少しの知識が加わるようになります。
株初心者の王道かもしれませんが、株のためだけに日経新聞を毎日読み、会社四季報を買って何十時間もかけて熟読しました。
そして、将来的に成長しそうな株(テンバガー)を探して買いました。いわゆるグロース投資です。
ヒット商品を出している会社など将来の業績がアップしそうなものをいくつか見付け、大きな期待を寄せました。

しかし、うまくいきませんでした。
予想どおりに業績がアップしなかったものは仕方ないのですが、業績がアップしても株価が上がらないものがあり、当時は、意味が分かりませんでした…
今ならわかるのですが、皆が将来の業績アップを予想して買い、事前にそのアップ分が株価に織り込まれてしまうと、実際に業績アップが発表されても株価は上がらないのです。
「材料出尽くし」と言われるものです。
悲しいことに、現在の株価に、将来の業績アップが織込み済みであるかどうかは、誰にもわかりません。
結局のところ、事前にいくら情報収集や分析しても、将来、業績がアップするかどうか、株価が上がるかどうかは、誰にもわからないということです。
それよりもっと恐ろしいのが、将来の成長を見込んだ長期投資のため、株価が下がってもロスカットできないのです。
短期的に下がっても、いずれ上がると考えていました。
気づくと含み損になっている株がほとんどでした。
あまりに損が大きくなると、怒りと失望、あきらめの気持ちで売ってしまいました。

将来を予想するグロース投資に見切りをつけた私は、「現在の会社のファンダメンタルズ(企業価値)からみて株価が割安になっているものを買えば、論理的だし長期保有すれば間違いなく上がるはず」と考えました。
俗にいうバリュー投資です。
今度は「不確実な投資」でなく、「論理的な投資」であるため、自信を持って買いました。
企業財務や決算書の見方などについて、真剣に勉強し、しっかり計算した上で割安度が大きいものを選びました。
しかし、これもうまくいきませんでした。
買った株の多くは、数年経っても企業価値に見合った株価にならず、待ちきれずにあきらめて売ってしまいました。
納得できませんでした…
今なら理解できるのですが、知名度が低く出来高も小さいバリュー株は、買い手が少なくてなかなか適正な株価にならないケースもあり、なるとしても、それがいつになるのかがわからないのです。

株というのは人気投票的な面が大きく、人気があって買いたい人が多ければ、企業価値なんかお構いなしに上がります。
しかし、私が買った人気のないバリュー株は、いつまでも割安のまま放置され、さらに株価が下がってより割安になっていきました。合掌…
悲しいことに、バリュー株は、理論上、株価が割安という明確な根拠があったため、株価が下がってもロスカットするという発想はありませんでした。
その結果、大損した株がいくつかありました。